路傍のイス

私思詩想詞

ReFull

給油口からガソリンを注ぐ

活動には燃料が必要です

このルールから

自由なモノはございません

 

燃料は減り続けます

時にそれはゆるゆると

燃料は減り続けます

時にそれはみるみると

 

自動車の燃料が

ガソリンならば

この身体の燃料は

なんだろや

この思考の燃料は

なんだろや

この心の燃料は

なんだろや

この魂の燃料は

なんだろや

 

減ったらもう一度

足せばいい

減るたびに何度も

満たしましょう

もう一度何度でも

 



時の粒立ち

引力が弱いときは

夜も薄闇になるようです

 

冷めきらないアスファルト

サンダルも鳴きません

 

お月様もお休みで

隙間なく几帳面な

暗幕で包まれたとき

街灯に火がともります

 

あそこの街灯は線香花火

向こうの街灯は虹色丸花火

そっちの街灯はスパーク花火

 

無数の花火に包まれて

光の粒子が見えたとき

それらの粒が

一粒一粒弾けるとき

私は時間という箱から

解放されるのです

 



プリン

ピカピカした明るさは

私には強すぎて

ワイワイした賑やかさも

私には強すぎて

 

それは分厚く重たいコート

それを着込むように

私は私の部屋にいます

 

空気も音も光も作動はしません

私が動かぬ限りは

多少の動きにも作動はしません

やはり優しい

それは分厚く重たいコート

 

その優しさに満たされて

優しさの一部になれた時

山中の大岩

道端の小石

深海の砂

どれかはわからないけれど

そんなものに成れるわけです

 

冷蔵庫のコンプレッサー

役目を果たす音が鳴る

それは周期的なものです

中にはプリンが一つ

他には何もありません

他には何もいりません

 

プリンをひとさじ食べますと

ピカピカとします

ワイワイとなります

結局のところ

これが私なのでしょう

 



明日曇りになあれ

今日はいい天気

光の粒子がゆらゆらしてる

みんな嬉しそう

部屋の窓は額縁

 

山と空の間に

美しい漆黒のカラス

飛んでは停まり

飛んでは停まり

よく働いています

 

塀と草むらには

美しい毛並みのネコ

塀の上で目を閉じたり

草むらで転がったり

よく遊んでいます

 

そうねそうだわ

もう窓の画を楽しむのは辞めたわ

だってこんなに体が動くのですから

だってこんなに思いを馳せられるから

 

私も彼らの様に窓の向こうに

カラスの様に働きたいわ

ネコの様に遊びたいわ

 

明日はお休み願います

太陽のお休み

私が代わりに参ります

 



アナタのカタチ

太陽の光が眩しいって

冗談はよしてよ

自分がどれほど輝いていると思っているの

 

風の勢いが強いって

何を言っているの

自分がどれほどの勢いがあるか解っているの

 

火の扱いが難しいって

可笑しなことを言うのね

自分がどれほど周囲に影響を与えているかを

 

地面が硬いって

信じられないよ

自分がどれほど信頼を集めているか知ってるの

 

雨が多くて水が溢れるって

いい加減驚かさないで

自分がどれほど優しく癒してきたか思い出してよ

 

これほど全方位的に知らしめているのに

アナタはまだ自分を小さく見積もるのですか

アナタのカタチを知らないのは

アナタだけですよ

 



自然は社会はやさしい

自然や社会を我が物とし

極端に恐れ過剰適応している人間たちが厳しい

人間たちが我が物と勘違いしている

自然や社会を見せつけられて

僕は疲れてしまう

 

どうせあがらえない自然に

押し流されるくせに

どうせ激動する社会に

置いてかれるくせに

その姿を無様と言えば

自身を守るため激昂し

その姿を憂いてみれば

巻き込もうと絡みつく

 

僕は非難はしても否定はしたくない

生きにくいけれど

人間が色づけした自然や社会のなかで

邪魔にならぬ様

何とか生きていきたい

僕という獣が人であり続けるために

僕という人の獣と共に

 

だから僕は手放します

これまでできなかった分

これまでやらなかった分

逃げて逃げて逃げて

精一杯生きていきます

 



梅雨で雨で

梅雨で雨で

 

畑の作業はお休みで

 

ポカリと空いた時間に

 

思考は恐怖し

 

身体は休めという

 

ココロは自由なはずだから

 

思考のプラグを外し

 

身体のファスナーを開け

 

空に風に水に光に闇に

 

溶けていこうと思います

 

窓から外を眺め

 

コーヒーを啜るボク